ぷち心理学タイトル 48.ママからのお手紙
 保育所や幼稚園に通い始めると,持ち物には名前を書きますね。すると,これまで文字を読めなかった子どもたちも,自分の名前の文字に興味を持つようになります。字が読めるようになると,自分でも字を書きたくなります。そのうち,自分の名前だけでなく,「ママ」や「パパ」など身近な人や,身のまわりのものの名前などへと,書く文字はすこしずつ広がっていきます。そして,これまでは,画用紙にお花の絵を描くだけだったのに,その下に「おはな」と書きこんだりします。
 子どもたちにとっては,強制されたりしなければ,自発的に字を覚えて,読んだり書いたりすることは,まさに遊びの延長です。好奇心のかたまりのような幼児にとって,「字が読める」というのは,嬉しいことであり,自分で字が書けるというのは,とても誇らしいことなのです。
 一方,ママも,子どもたちが少し字を読めるようになると,簡単なメモやお手紙を書いてあげるようになりますね。たとえば,パパと子どもを残して,用事で出かける際にも,「いいこで おるすばんしててね おみやげかってくるよ ママ」と書き置きを残すなど。
 大人どうしの連絡は,手軽なメールで済ませることが多くなった現在,手紙を書く機会はめっきり減りました。でも,手紙には,独特のよさがあります。直筆の手紙なら,筆跡から,相手の気持ちや様子などが鮮明に伝わってきます。また,手元に置いておき,あとで読み返しやすいというのも,手紙の特徴でしょう。ひとことメッセージのような,ごく短い手紙でも,思いは伝わるもの。手紙を受け取る嬉しさ,書く楽しさを,子どもたちにも味わわせてあげたいものですね。そのためには,「ありがとう」の気持ちなどを,口で言うだけでなく,短いメッセージにして残してあげるといいでしょう。「○○ちゃんが おりょうりの おてつだいをしてくれて うれしかったよ ママ」など。
 小さい子どもにとって,ママからのお手紙は嬉しいものです。字を覚えたばかりでも,一生懸命に読んで,お返事を書いてくれるのではないでしょうか。「また おてつだいしてあげるよ ○○」などというように。
 子どもが文字に興味を持つようになったら,お手紙ごっこをママの方から始めてみてはいかがでしょうか。
(2016年 Happy=Note 春号 p.39)