思考の創造性:豊かで柔軟な発想が生まれる条件


1.何が創造性を支えるか

 子どもたちの創造性を高めるにはどうすればよいか。これは,古くて新しいテーマである。自ら学び考える力を育てるためにも,思考における創造性の問題を再考する必要がありそうだ。
 まず,創造性の高い子どもとは,どんな子どもだろうか。ギルフォード(Guilford,J.P.)の研究によれば,次のような特性を備えた子どもに,高い創造性が期待できる。

(1)創造的思考を支える知的特性
・問題に対して敏感である:ある考えに含まれる誤りや欠陥などに気づき,指摘することができる。
・思考が流暢である:次から次へとなめらかにアイデアを出すことができる。
・思考が柔軟である:すでに確立された方法や既存の考えにとらわれずに考えることができる。
・考えが独創的である:型にはまらない,非凡なアイデアを出すことができる。
・考え方が緻密である:ある考えをていねいに発展させたり,細部を注意深く詰めていくことができる。

 しかし,こうした知的な側面だけでは十分でない。思考における創造性が実際に発揮されるためには,創造的思考のための「態度」を忘れてはならない。そこで次に,やはりギルフォードの知見に基づきながら,態度特性について見てみよう。

(2)創造的思考を支える態度特性
・あいまいさに対して寛容である
・冒険を好む
・自信が強い
・独創性を重視する
・変化を好む
・達成心が強い

 創造性を支えるこうした特性を,まず念頭に置く必要がある。と同時に,これらの特性を伸ばすような働きかけを行うことが大切である。
 たとえば,教師が子どもたちに対して,あいまいさや失敗に寛容な態度をとったり,独創的な考えをほめたり,最後まで考え抜くことを見守り応援するなどの行動を示せば,子どもたちの中にもそうした態度が育まれやすい。教師自らができるだけ創造的思考を働かせ,その様子を子どもたちに見せること,そして創造的思考を奨励することが大きな役割を果たす。

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