子どもとの会話で,私たち母親が気をつけたい点を教えて下さい。
-言ってはいけないこと,言ってあげたいこと- (三宮真智子)回答)
小学生くらいまでの子どもが,毎日の生活の中でもっともよく話す相手は,やはりお母さんでしょう。他愛のない話から深刻な話まで,子どもはけっこう母親と話をしたがるものです。母親とのコミュニケーションが,子どもの家庭生活における1つの柱であることはまちがいないでしょう。母親との間によい人間関係が築けるかどうかが,子どもの家庭生活を大きく左右します。
とは言っても母と子は,接触時間が長い分だけ,摩擦や感情の行き違いが生じやすいこともまた事実です。そこで,お母さん方の知恵と工夫が必要になるのです。まず,「私のことばは,いったい子どもにどう受けとめられているのかしら」と考えることが第一歩です。
一般におとなは,子どもに対して無配慮なことばを発しがちです。「どうせ,まだ小さいんだから」「こんなことくらいで,たいした影響ないと思うもの」「忙しくて,ことばなんかいちいち選んでいられないんだから」などなど,いろいろな理由があるわけですが....。
でも,気をつけましょう。子どもは,案外ことばに敏感なんです。そして,母親が何の気なしに言ったことばを,ずっとずっと覚えていることだってあるのです。言った本人がとっくの昔に忘れてしまっているのに。
そこで,子どもへのことばかけにはどんな点に注意しなければならないかを,ごいっしょに考えてみましょう。これまで私が行なってきた調査研究や事例相談をもとにして,まず,「子どもが嫌うお母さんのことば」ワースト10をとりあげてみたいと思います。これらはまた,子どもの心によくない影響を残すことばでもあります。
(1)「あんたなんか,生まれてこなきゃよかったのに」(存在価値の否定)
たとえ冗談でも,これだけは,絶対に言ってはいけません。このことばは,母と子の絆を断ち切るばかりか,子どもに自分自身の生きる価値を否定させてしまいます。
(2)「あんたって,ほんとにだめね」(人格否定)
子どもを叱る際にも,人格そのものを否定することは避けましょう。「自分はだめな子なんだ」と思いこんでしまった子どもが,がんばれるはずはありません。
(3)「がんばったって,どうせ無理よ」(有能感の否定)
もともと子どもには,「がんばれば,自分にもできるんだ」という気持ちがどこかにあるものです。こうした有能感の芽をつみとってしまうと,子どもは努力もしなくなり,「どうせ,できないよ」と開き直ることを覚えます。
(4)「あんたなんか,だいっ嫌いよ」(愛情の否定)
カッとしたとき,つい口走ってしまいそうなことばですが,気をつけましょう。子どもの心には,母親の愛情剥奪への不安がありますから,真に受けてしまいやすいのです。
(5)「あんたの世話で,お母さん,好きなこともできないのよ」(養育への不満)
このことばは,子どもに罪悪感を与えますが,実は,ひどい言いがかりです。子どもの養育負担が大きすぎるのなら,夫に言うべきであり,子どもに文句を言うのはまったくの筋違いです。
(6)「だれのおかげで,ここまで大きくしてもらったと思ってるの」(親の恩着せ)
子どもに親の恩を売るのは,いやらしいものですね。幼いうちは納得するかもしれませんが,ある年齢に達すると,大きな反発や軽蔑となって表われるでしょう。親に対する感謝の気持ちから,逆に子どもを遠ざけてしまうのが,実はこのことばなのです。
(7)「お母さんはあんたをどうにでもできるのよ,親なんだから」(親の権威のふりかざし)
これは,ことばの暴力です。幼い子どもなら恐ろしさに縮み上がって親の言うなりになるでしょうが,ある程度大きくなると,嫌悪の気持ちでいっぱいになります。いたずらに反抗心をあおる結果に終わるでしょう。
(8)「うるさいわね,いちいち話しかけないで」(関わりの拒否)
冷たさがにじみ出ることばですね。しょっちゅうこんなことを言っていると,母親には何も言わなくなります。また,泥のついた手でかけよって来る幼い子に,「さわらないでよ,服が汚れるんだから」と邪険に言い放つのもこれと似ており,母親への関与をきわめて薄くすることになります。
(9)「いいわけなんか,聞きたくないわ」(言い分の押えこみ)
叱られた子がすなおに謝らず,「だって....」と言おうとしたときに思わず口をつくことばですが,よくありません。言い分は,とりあえず聞いてあげましょう。でないと,子どもの側に不満が残り,叱られたことに納得しません。
(10)「となりの○○ちゃんはできるのに,あんたはできないのね」(他の子どもとの比較)
私たちのほとんどが,「子どものとき,人と比較されてとてもいやだった」という経験を持っているのではないでしょうか。なぜこれがいやなのか,説明するまでもないですよね。
とは言っても母と子は,接触時間が長い分だけ,摩擦や感情の行き違いが生じやすいこともまた事実です。そこで,お母さん方の知恵と工夫が必要になるのです。まず,「私のことばは,いったい子どもにどう受けとめられているのかしら」と考えることが第一歩です。
一般におとなは,子どもに対して無配慮なことばを発しがちです。「どうせ,まだ小さいんだから」「こんなことくらいで,たいした影響ないと思うもの」「忙しくて,ことばなんかいちいち選んでいられないんだから」などなど,いろいろな理由があるわけですが....。
でも,気をつけましょう。子どもは,案外ことばに敏感なんです。そして,母親が何の気なしに言ったことばを,ずっとずっと覚えていることだってあるのです。言った本人がとっくの昔に忘れてしまっているのに。
そこで,子どもへのことばかけにはどんな点に注意しなければならないかを,ごいっしょに考えてみましょう。これまで私が行なってきた調査研究や事例相談をもとにして,まず,「子どもが嫌うお母さんのことば」ワースト10をとりあげてみたいと思います。これらはまた,子どもの心によくない影響を残すことばでもあります。
(1)「あんたなんか,生まれてこなきゃよかったのに」(存在価値の否定)
たとえ冗談でも,これだけは,絶対に言ってはいけません。このことばは,母と子の絆を断ち切るばかりか,子どもに自分自身の生きる価値を否定させてしまいます。
(2)「あんたって,ほんとにだめね」(人格否定)
子どもを叱る際にも,人格そのものを否定することは避けましょう。「自分はだめな子なんだ」と思いこんでしまった子どもが,がんばれるはずはありません。
(3)「がんばったって,どうせ無理よ」(有能感の否定)
もともと子どもには,「がんばれば,自分にもできるんだ」という気持ちがどこかにあるものです。こうした有能感の芽をつみとってしまうと,子どもは努力もしなくなり,「どうせ,できないよ」と開き直ることを覚えます。
(4)「あんたなんか,だいっ嫌いよ」(愛情の否定)
カッとしたとき,つい口走ってしまいそうなことばですが,気をつけましょう。子どもの心には,母親の愛情剥奪への不安がありますから,真に受けてしまいやすいのです。
(5)「あんたの世話で,お母さん,好きなこともできないのよ」(養育への不満)
このことばは,子どもに罪悪感を与えますが,実は,ひどい言いがかりです。子どもの養育負担が大きすぎるのなら,夫に言うべきであり,子どもに文句を言うのはまったくの筋違いです。
(6)「だれのおかげで,ここまで大きくしてもらったと思ってるの」(親の恩着せ)
子どもに親の恩を売るのは,いやらしいものですね。幼いうちは納得するかもしれませんが,ある年齢に達すると,大きな反発や軽蔑となって表われるでしょう。親に対する感謝の気持ちから,逆に子どもを遠ざけてしまうのが,実はこのことばなのです。
(7)「お母さんはあんたをどうにでもできるのよ,親なんだから」(親の権威のふりかざし)
これは,ことばの暴力です。幼い子どもなら恐ろしさに縮み上がって親の言うなりになるでしょうが,ある程度大きくなると,嫌悪の気持ちでいっぱいになります。いたずらに反抗心をあおる結果に終わるでしょう。
(8)「うるさいわね,いちいち話しかけないで」(関わりの拒否)
冷たさがにじみ出ることばですね。しょっちゅうこんなことを言っていると,母親には何も言わなくなります。また,泥のついた手でかけよって来る幼い子に,「さわらないでよ,服が汚れるんだから」と邪険に言い放つのもこれと似ており,母親への関与をきわめて薄くすることになります。
(9)「いいわけなんか,聞きたくないわ」(言い分の押えこみ)
叱られた子がすなおに謝らず,「だって....」と言おうとしたときに思わず口をつくことばですが,よくありません。言い分は,とりあえず聞いてあげましょう。でないと,子どもの側に不満が残り,叱られたことに納得しません。
(10)「となりの○○ちゃんはできるのに,あんたはできないのね」(他の子どもとの比較)
私たちのほとんどが,「子どものとき,人と比較されてとてもいやだった」という経験を持っているのではないでしょうか。なぜこれがいやなのか,説明するまでもないですよね。
では逆に,子どもの好きなことば,子どもの心を育てることばには,どのようなものがあるでしょうか。幼児の頃は特に,母親が自分に関心を向けていてほしいものです。そして,
「わあ,○○ちゃん,こんなことができるようになったの」「あら,えらいのね」(感嘆・賞賛)
とほめられることが,とてもうれしいものです。また,
「いいのよ,ちょっとくらいまちがえたって」(失敗の許容)
のことばで,安心していろいろなことに挑戦していきます。小学校に上がると,挫折経験もふえていきますが,
「○○ちゃんは,やればできる子よ」(有能感の保証)
のことばが支えになってくれます。 高学年ともなれば,母親の干渉をうとましく感じ始めますから,ほんの少し口出しをひかえて,
「お母さん,○○ちゃんを信じてるもの」(絶対的な信頼)
と,わが子の良心と責任感に訴えかけましょう。そして,子どもがいくつであっても,
「いつだって,○○ちゃんにはお母さんがついてるわ」(絶対的な支援)
ということばに,限りない安心感を覚えるはずです。
いかがでしょう。ワースト10のことばに,心あたりはありませんか。子どもの好きなことばかけは,できていますか。
もちろん実際には,「このことばを使えば必ずうまくいく」という,どの子にもあてはまるようなマニュアルは存在しません。それは,私たちが自分のうちの事情に合わせて作り上げていくものなのです。
でも,他の人の経験や知恵,研究の成果などは,私たちひとりひとりのマニュアル作りを応援してくれます。私たちにヒントを与え,気づきを促してくれます。こうした頼もしい応援団の力を上手に借りながら,あなたも,自分のための「ことばかけのマニュアル」を作っていくことにしませんか?
「わあ,○○ちゃん,こんなことができるようになったの」「あら,えらいのね」(感嘆・賞賛)
とほめられることが,とてもうれしいものです。また,
「いいのよ,ちょっとくらいまちがえたって」(失敗の許容)
のことばで,安心していろいろなことに挑戦していきます。小学校に上がると,挫折経験もふえていきますが,
「○○ちゃんは,やればできる子よ」(有能感の保証)
のことばが支えになってくれます。 高学年ともなれば,母親の干渉をうとましく感じ始めますから,ほんの少し口出しをひかえて,
「お母さん,○○ちゃんを信じてるもの」(絶対的な信頼)
と,わが子の良心と責任感に訴えかけましょう。そして,子どもがいくつであっても,
「いつだって,○○ちゃんにはお母さんがついてるわ」(絶対的な支援)
ということばに,限りない安心感を覚えるはずです。
いかがでしょう。ワースト10のことばに,心あたりはありませんか。子どもの好きなことばかけは,できていますか。
もちろん実際には,「このことばを使えば必ずうまくいく」という,どの子にもあてはまるようなマニュアルは存在しません。それは,私たちが自分のうちの事情に合わせて作り上げていくものなのです。
でも,他の人の経験や知恵,研究の成果などは,私たちひとりひとりのマニュアル作りを応援してくれます。私たちにヒントを与え,気づきを促してくれます。こうした頼もしい応援団の力を上手に借りながら,あなたも,自分のための「ことばかけのマニュアル」を作っていくことにしませんか?