ぷち心理学タイトル 38.ごっこ遊びが育てるものは
 お店屋さんごっこやヒーローごっこ,おままごとなど,子どもたちは「ごっこ遊び」が好きです。
 「ごっこ遊びには,どんな意味があるの?」「ごっこ遊びの相手をするのは苦手なんだけど,した方がいい?」と疑問を持つママたちがいます。たしかに,いつも怪獣や悪者役をさせられたり,変なセリフを強要されたら,ママだって少しうんざりするかもしれません。
 では,ごっこ遊びにはどんな意味があるのでしょう?
 まず,ごっこ遊びでは,食べたり飲んだり泣いたり怒ったりする「ふり」をします。ふりのためには,いつもの自分の行動をしっかり覚えておき,それを演じること,つまり記憶力や演技力が必要です。次に,砂場でゼリーの空き容器に砂を盛りつけ,ごはんの代わりにするなど,代用品を本物に見立てます。「見立て」のためには,代用品をうまく考えつくという創造力が必要です。そして,自分ではない誰かの役割を演じます。「早く寝なさい」とママの口調や表情を真似るなど,他者の役割を演じるためには,日頃から,まわりの人のふるまいをよく観察しておくことが必要です。また,ごっこ遊びには,たいてい,なんらかのストーリーがあります。たとえば,宇宙からやって来た怪獣が暴れてみんなを困らせ,ヒーローが助けに来るなど。こうしたストーリーを生み出すためには,想像力も必要になるでしょう。
 最後に,忘れてはならないのは,他者とのやりとりです。誰かとごっこ遊びをする時は,どんな風に遊ぶか,自分の考えを伝えたり相手の要望との折り合いをつけます。そして,役になりきって相手の発言にアドリブで答えること,つまり,コミュニケーション力が要求されます。
 一見単純に見える遊びですが,ごっこ遊びを通して,記憶力・演技力・創造力・観察力・想像力・コミュニケーション力などが,知らず知らずのうちに育つことが期待できます。
 お子さんが,ごっこ遊びをしようと言ってきたら,ママはできるだけ相手をしてあげてください。でも,子どもの言いなりになる必要はありません。「ママはこういう風にしたいな」と時には主張し,相手の気持ちを考えさせる機会を作るのもいいかもしれませんね。
(2013年 Happy-Note 冬号 p.41)