ぷち心理学タイトル 32.絵本はどう読み聞かせればいいの?
 「うちの子,まだ字が読めないけど,絵本を見せてあげたい。でも,どんなふうにすればいいの?」と考え込むママたちは少なくありません。3~4歳児はもちろんのこと,たとえ1歳前の赤ちゃんであっても,ママといっしょに絵本を眺めるのは大好き。お気に入りのページでは,「あっ,あっ」と声を出したり指さしたりして,楽しそうです。さあ,わが子との絵本タイム,どのような工夫をすればよいのでしょうか。
 ここでちょっと気をつけたいのは,教え込みにならないようにすることです。子どもの知的発達を願う気持ちは大切ですが,いわゆる「お勉強」になってしまうと,絵本を心から楽しむことはできません。
 発達心理学者の内田伸子先生たちは,ママから子どもへの絵本の読み聞かせ場面を観察し,ママのしつけスタイルによって,絵本の読み聞かせ方が異なることを見出しました。まずは,いわゆる教え込み型のママたちです。このタイプは,「ほら,次を見てごらん」というように子どもを指導します。その結果,子どもがかえって飽きてしまう傾向が見られたとのことです。一方,教え込まないタイプのママたちは,「ほら,赤ちゃんが泣いているわね。ママはどこかな」というように絵本の内容について言葉をかけることで,子どもの注意をひきつけます。子どもの関心を高めるのは,後者の言葉かけではないでしょうか。
 教え導くことが必ずしもよくないわけではありませんが,まずは絵本を楽しみたいもの。子どもが絵本好きになれば,やがては読書好きな子に育つことも期待できるでしょう。
 それに,絵本タイムは,親子のコミュニケーションにとって,とてもよい機会です。絵本をそのまま読むだけでなく,絵本の内容に関連づけて子どもに話しかけたり,主人公の名前をわが子の名前に置き換えたり,お話の続きをママが創作したりするなど,いろいろと工夫する余地があります。絵本を介してママと子どもの想像力を自由に羽ばたかせる…そんな豊かな時間をぜひたっぷり味わいたいものですね。もちろん,時にはパパにも,子どもといっしょに絵本を楽しんでもらいましょう。
(2012年 Happy-Note 夏号 p.109)