ぷち心理学タイトル 29.落ち込みから抜け出すには
 食事もお風呂も寝かしつけも,いちいちグズって時間がかかるし,反抗的だし,トイレトレーニングも進まないしと,子育てにはストレスがいっぱい。疲れもたまり,つい感情的になって子どもに苛立ちをぶつけた後で,落ち込んでしまうママも少なくないはずです。「私って母親失格なのかしら」と気持ちがふさいで,育児も家事も,何もかもがいやになることもあるかもしれません。そんな状態から抜け出すには,どうすればいいのでしょうか?
 失敗やつまずきがいくつか重なると,「どうせもう,何をやってもうまくいかないんだ」と絶望的な気分になることがあります。そんな時,私たちの心は,「ネガティブな決めつけ」という落とし穴にはまっています。子育てに一生懸命でまじめなママほど,この落とし穴に陥りやすいのです。ここから抜け出すには,まず,落ち着いて自分の心を客観的に見つめ,自分が落とし穴にはまっていないかと考えてみることです。ひとりで考えることもできますが,誰かにやさしく話を聞いてもらいながら考えると,いっそう気づきやすくなるでしょう。
 もちろん,煮詰まってしまう前に,手を打つこともできます。少し心が疲れてきたら,「子育てに完璧を目指さない」「他の子と比べない」「いずれ時が来れば解決する」といった言葉を唱えてリラックスすることです。うまくいかなかったことよりも,うまくいったことを数えて,子どもと自分自身をほめてあげましょう。また,心の余裕を取り戻すためには,一度悩みの種を棚に上げて気を紛らすこと,つまり気分転換も効果的です。好きな音楽を聴いたりお花を眺めたり,アロマセラピーやマッサージを試したり,無理のない範囲で子どもを預けてショッピングしたり,お友達とお茶するだけでも,大きな気分転換になるはずです。
 落ち込みは,心のサインです。「何か手を打って」という心のささやきだととらえ,周りの人たちの協力を得ながら,自分自身の疲れた心と体をいたわってあげたいものですね。
(2011年 Happy-Note 秋号 p.61)