ぷち心理学タイトル 9.心を育てる遊び
 幼児にとって,遊びはとても大切です。遊びと言えば,おもちゃを思い浮かべる方も多いのでは?最近のおもちゃは種類が豊富で,優れたものもたくさん出回っています。大人としては「あれもよさそう,これもよさそう」と目移りし,ついついたくさん買い与えてしまいがちですね。でも,既成のおもちゃの与えすぎや与えっぱなしは,NG。ちょっと遊んではポイッというふうに,飽きっぽい子どもになりかねません。では,どのようにおもちゃを与えるといいのでしょうか。おもちゃ選びの前に,まず,子どもにとっての遊びとは何かを見ておきましょう。
 遊びはまず,赤ちゃんの頃の「イナイイナイ,バァ」などの,ごく単純な動作のくり返しから始まります。少し大きくなると,「げんこつやまのタヌキさん」のような歌いながら手を動かす遊び,さらに「じゃんけんグリコ」のような体を動かす遊びができるようになります。そして,お絵かきや工作といった手先に注意を集中する遊びも,少しずつ上手になります。クレヨンをにぎって紙になぐりがきをしたり,お散歩で拾ったドングリや葉っぱ,あるいはおうちにある段ボールや新聞紙,牛乳パックなどの素材を使った工作も,砂場でおだんごを作るのも,子どもにとっては夢中になる遊びですね。「見る,聴く,話す」を取り入れたものとしては,絵本を読み聴かせてもらう,音楽を聴く,たどたどしいながらも自分でお話しするといったことも,幼児にとっては楽しい遊びです。
 つまり,手や体を動かす,目や耳を使う,歌ったり話したりする,手ざわりを楽しむ,自分で考え工夫するなどが,子どもの心と体の発達にとっては,とても重要な要素となります。そして,忘れてはならないのが,親子で向き合うことです。遊びを通しての親子のコミュニケーション,子どもの自由な創造力を育てることを,ぜひ大切にしたいものです。おもちゃを与える際にも,こうした点に配慮しましょう。
(2006年 Happy-Note 秋号 p.130)