絵本

『心を育てるおやこえほん:0歳』監修のことば

ママのためのぷち心理学
 生まれてから最初の1年は,特にまわりからの働きかけが大切な時期です。だっこや頬ずりをはじめとするスキンシップや,赤ちゃんの目を見て微笑んだり,話しかけたり,歌を歌ってあげたり,何かをいっしょに見たり聞いたりする機会を,できるだけふやしてあげたいものです。そんなときに,この絵本を使ってみましょう。赤ちゃんは,かなり早い時期から,お母さんの話しかけに対して同じリズムで体を動かすようになります。2カ月児以上になると,見せられた絵の全体の輪郭を目で追うことができるようになります。「くまちゃん,いるね」と絵を指さす大人をまねて,しだいに自分でも指さすようになります。赤ちゃん特有の「あーあー」や「んまんま」という声で何かを伝えようとしてきたら,「ああ,そうなの」「うんうん,そうね」などと,優しくあいづちを打ってあげてください。絵本の絵をいっしょに見ながら,話しかけたり体を動かしてあげたりする...そんなふうに絵本を使って楽しみましょう。7・8カ月を過ぎると,自分では話せなくても,ことばの意味を少しずつ理解し始めますので,ゆっくりはっきり発音して聞かせてあげましょう。英語の歌は,まったく意味がわからなくても大丈夫。CDを聞きながらメロディーとともに英語が耳に入って来るだけで十分です。

『心を育てるおやこえほん:1歳』監修のことば

ママのためのぷち心理学
 1歳を過ぎると,運動機能とともに理解力や感情表現に目ざましい発達が見られます。「スプーンちょうだい」と言うと手渡してくれたり,自分でも話せる単語がふえ,1つの単語でいろいろな意味を表す「一語文」が出始めます。たとえば「あそこにワンワンがいる」「ワンワンと遊びたい」などは,みな「ワンワン」という一語で表現されます。好奇心もとても旺盛になり,いろいろなことに関心を示します。お母さんやお父さんといっしょに絵本の絵を見ながらことばを覚えたり確かめたりすることは,このような1歳児にとって,わくわくする遊びなのです。もちろん,ただじっと絵本を読んであげるだけでなく,歌ったり手足を動かしたりという活動をまじえながら楽しむことも大切です。この絵本では,そうしたいろいろな活動がバランスよく組み込まれています。大人のまねをするのが楽しくて仕方がないこの時期には,まわりからいろいろなことを吸収していきます。英語の歌のCDも,意味はわからなくても1歳児の耳には心地よく響くはずです。また,絵本を使って子どもにやさしく問いかけたり,子どもが言おうとしてうまく言えないことを補ってあげたりすることで,ことばによるコミュニケーションの楽しさがわかってきます。絵本に描かれていることをテーマとして共有しながら大人と関わることができるようになり,コミュニケーションの世界はいっそう広がっていくことでしょう。

『心を育てるおやこえほん:2歳』監修のことば

ママのためのぷち心理学
 2歳になると,お絵かき,ぬり絵,積み木遊びなど,手先を使う遊びが少しずつできるようになります。ことばもたくさん覚え,二語文(「おそと,いく」など)を経て,ことばの早い子どもは身近な大人と会話ができるようになります。でも,自分の考えや気持ちを伝えるにはまだまだ十分ではなく,自分でもうまく表現できないことに苛立って「キーッ」などと叫んだりすることも。知識や感情がどんどん豊かになる2歳児にとっての絵本は,1歳児の時とはまた違った役割を果たします。絵本から新しい知識を吸収したり考えたりすることがふえていくでしょう。また,お子さんの日々の経験に重ね合わせるようにして絵本を読み聞かせることにより,絵本に登場する人間や動物の気持ちに共感したり,他者の心を尊重する構えが身についていくことでしょう。この時期には自我の芽生えとともに,「自分」と「自分以外の他者」のちがいがわかってきます。お友だちと上手に遊べるようになるためにも,このことはとても大切です。また,絵本をそのまま読むだけでなく,絵本の内容をきっかけにして自由にお話をふくらませたりアレンジして聞かせてあげることにより,ことばによる表現や創造的に考えることの楽しさが伝わるでしょう。CDに収められた英語の歌は,覚えるためではなく楽しんで聴くためのものです。何度も聴いているうちに自然に覚えてしまうかもしれませんが,それはあくまでも楽しんだ結果としてとらえたいものです。

『心を育てるおやこえほん:3歳』監修のことば

ママのためのぷち心理学
 3歳児は,好奇心のかたまり。そして,飛躍的にいろいろなことを覚えていく年齢でもあります。語彙や表現のレパートリーもふえるため,大人とのコミュニケーションがかなり自由になりますし,また,同年代のお友だちともだんだんと上手に遊べるようになります。一方では,第一反抗期を迎え,まわりの大人を困らせることもありますが,自分で考え行動する心の芽生えと受け止めたいですね。
 新しいものに触れること,理解すること,考えること,そしてお話をしたりしてもらったりすることが楽しくて仕方がない3歳児。「もっとたくさん知りたい」「もっといろいろなことをしてみたい」という幼い好奇心を十分に満たしてあげてください。絵本を読んであげるときも,ただ書かれたことばを読み上げるだけではなく,絵本を見ながら語り合うことで,親子の会話をどんどんふくらませていきましょう。
 この本には,3歳児が直面するさまざまな生活シーンで「どう言えばいいのか」や「守りたいお約束」などを楽しく学べる工夫が盛り込まれています。また,ことば遊びや数のおけいこに加えて,「これは英語ではなんて言うのかな?」という疑問にも随所で答え,親子で楽しめる作りになっています。
 付録の英語CDを聴くときには,おうちのかたがCDに合わせて声を出してあげると,お子さんもそれをまねて,元気よく声を出すでしょう。大切なのは,楽しい雰囲気の中で英語に触れさせてあげることですね。

『心を育てるおやこあそびのえほん:11~5歳』監修のことば

ママのためのぷち心理学
 幼児にとって,あそびは「できること」の範囲をぐんぐん広げてくれる大切な活動です。できることの範囲が広がると,自信や意欲が高まり,発達のさらなる原動力となります。
 この時期には成長が目ざましく,手先も器用になる上に,理解できることばもふえていきます。そこで,あそびの中に十分な運動を取り入れることや,リズムに合わせて体や手足を動かしたり,歌ったり,絵を描いたり,ことばを使って考えたりという広いレパートリーを持たせることが大切です。そうすることで,幼児の可能性を十分に伸ばしてあげたいものです。
 でも,実際に,子どもとどんなふうにあそんであげればいいのでしょうか。お父さんやお母さんが小さい頃にあそんだ記憶はおぼろげで,うまく再現できないことも多いのでは?
 そんなときに,この絵本が役に立つでしょう。この本には,幼児の発達に欠かせないあそびのヒントがぎっしり詰まっています。忘れかけていた歌も,付録のCDを聴けばよみがえってくるはず。中には,おじいちゃん・おばあちゃんにも懐かしい,時代を超えて伝えていきたいあそびも含まれています。また,自然に親しみ,季節感をとりいれる工夫もなされています。こうしたあそびを親子で楽しむことで,幼児の心は育まれていきます。
 なんといっても,あそびは,豊かな感性と創造力の源です。そして,親子であそんだ記憶は,幸せな幼児期の思い出として残り,子どもの人格形成を支えてくれることでしょう。