ぷち心理学タイトル 21.どんなつもりで言ったの?
 子育て中のママにとって,気持ちを安定させておくことはとても大切。それは,ママの気持ちがそのまま子どもに影響を与えてしまうからです。では,ママの気持ちを最も大きく左右するのは誰でしょう?それは通常,夫(パパ)であるはずです。夫のちょっとした言葉や態度でゆううつになったり腹が立ったりしたという人は少なくないでしょう。
 妻を不快にさせる夫の発言には,決して言うべきではない言葉もありますが,中には,特に悪気なく言った言葉に妻が傷つく場合もあります。たとえば,「○○さんの家で夕食出してもらったんだけど,奥さんの料理すごくうまかったよ」と言われたとき,「私の料理がまずいって言いたいのね」と考え落ち込む人がいました。実は,夫の言葉に深い意味はなかったのですが,料理が下手なことをずっと気にしていた彼女には,自分へのあてつけのように聞こえたのです。一方,そんな妻の思いを知るよしもない夫は,その後も無邪気によその奥さんの料理を誉めることがあり,すっかり妻を怒らせてしまいました。
 さて,このケース,いったいどちらに問題があるのでしょう?答は,「どちらにも少しずつ」です。まず,夫の側は,もう少し客観的に自分の発言の影響を考え,聞き手である妻の気持ちに配慮すべきでしょう。ふたりの人がいて,一方のみを誉めるということは,他方をけなすことと似た意味を持つ場合があります。誉められなかった人は,あまり愉快ではないかもしれません。夫から誉められたいと願う妻の場合は,特にそうでしょう。一方,妻の側は,「よその奥さんの料理をほめるのは自分へのあてつけ」とすぐに決めつけず,いったん第三者の視点に立って他の解釈を考えてみることもできたはずです。「わざわざ妻にあてつけを言って波風を立てようとするだろうか?特に他意のない発言ではないか」と解釈し直し,さらりと受け流せば,落ち込む必要もなくなるでしょう。
 自分の発言が相手に与える影響を考える,第三者の視点で相手の発言を解釈し直すといったこと(心理学では,このように自分の考えや発言を客観的にとらえ直すことをメタ認知と呼びます)を夫婦がともに心がけることで,家庭がハッピーになるといいですね。
(2009年 Happy-Note 秋号 p.92)