コントラストの効果を体験する その2

 コントラストの効果は,もっと単純な図形認知においても生じます。次の(a),(b),(c)の図形を見てください。(a),(b),(c)のそれぞれにおいて,左と右の図形内側にある円や数字の大きさは,どのように見えますか?
 あなたの目にはどのように見えましたか?ほぼ例外なく,大きさの錯覚が起こるはずです。実は,(a),(b),(c)それぞれの左右の図形の内側にある円や数字はどれも同じ大きさですが,左側の方が小さく見えたと思います。これは,とり囲む円が右側よりも左側での大きいため,左ではコントラストの効果によって内側の円や文字が実際よりも小さく見えてしまうためです。つまり錯覚です(aは「エビングハウス錯視」,b,cは「デルブーフ錯視」と言います)。
 このように,私たち人間の情報判断においては,単純な図形情報から,複雑な情報に至るまで,錯覚が起こりやすいのです。物の大きさや出来事の重大さ,要求の大きさなどは,まわりの条件を変えることによって,感じ方が変化するのです。
 こうした人間の情報処理特性をよく理解した上で,重要な情報判断の際には,慎重に臨むことが必要です。